デロリアンのような、廃棄物からクリーンなエネルギーを生み出す「夢の技術」の実現
2025年10月、一つの新会社が設立されます。その名は「エナウム株式会社」。この会社は4つの企業が共同で立ち上げた合弁会社で、廃棄物を未来のエネルギーに変えるという壮大なビジョンを掲げています。彼らが目指すのは、まるで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界を現実のものにすること。バナナの皮やウイスキーからタイムトラベルのエネルギーを生み出したデロリアンのように、廃棄物からクリーンなエネルギーを生み出す「夢の技術」の実現に挑みます。
「ごみ」が「資源」になる驚きの技術
エナウムの核となるのは、「Waste to Energy (WTE)」という革新的なシステムです。この技術は、燃やすことなく、高温・無酸素の雰囲気で廃棄物をガス化するものです5。驚くべきことに、このシステムは分別が不要。廃プラスチック、廃タイヤ、食品残渣、さらには都市ごみや基板、海水に浸かった木材、釘が混じった木材まで、あらゆる混合廃棄物をそのまま投入して処理することができます。
このガス化プロセスによって生成されるのは、水素(H2)と一酸化炭素(CO)を豊富に含むガスです。この水素濃度は世界トップクラスの50〜60%を誇り、高い効率でエネルギーを生み出すことが可能です。さらに、この技術はダイオキシンなどの有害物質を発生させません。
廃棄物から生まれる、多様なエネルギー
エナウムのシステムが生み出すエネルギーは多岐にわたります。
- 電力: ガスを活用した発電機や燃料電池(SOFC)により、電力を作り出すことができます。生成された電力は、自家利用したり、販売したりすることが可能です。
- 燃料: WTEプロセスで生成されたガスは、
SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)やSMaF(Sustainable Marine Fuel:持続可能な船舶燃料)、DME(ジメチルエーテル)、アルコール、ナフサ、さらには冷媒など、さまざまな燃料に変換することができます。
さらに、同社は小型のWTEシステムの構想も持っており、1日に1トンから2.5トンの処理能力を持つ小型システムをオンサイト(設置場所)で稼働させることを目指しています。これは、ごみ処理のあり方を根本から変える可能性を秘めていると言えるでしょう。
エナウム株式会社は、廃棄物問題を解決し、クリーンなエネルギーを生み出すことで、私たちの未来をより良いものにしようとしています。彼らが描く壮大な夢が、これからどのように現実のものとなっていくのか、今後の動向に注目です。

